2020/09/16 22:35




2000年公開の香港映画、花様年華(In the Mood for Love)。
「重慶森林(Chungking Express、恋する惑星)」や、「堕落天使(Fallen Angels、天使の涙)」などで有名な香港を代表する映画監督、王家衛(ウォン・カーウァイ)作品。主演を演じたのは、梁 朝偉(トニー・レオン)、張 曼玉(マギー・チャン)と、共に香港映画を代表する俳優で、ウォン・カーウァイ作品の常連でもあります。トニー・レオンのカンヌ国際映画祭での主演男優賞をはじめ、モントリオール映画祭 最優秀作品賞、フランス・セザール賞 最優秀外国語作品賞など様々な受賞歴を持つ本作。



舞台は1960年代の香港。同じ日、同じアパートに引っ越してきた既婚同士の二人が、お互いの妻、夫の不倫関係に気付き、いつしか時間を共にし惹かれあっていくというラブストーリー。映画は淡々と進んで行きますが、二人の距離はなかなか縮まらず、大胆な性描写もありません。いわゆる”大人の純愛” といったところでしょうか。



大きなドラマや、テンションの浮き沈みもない。それでもスクリーンを釘付けにするのは、圧倒的な映像美。光と影の具合が絶妙で、目が覚めるような赤を基調とした色使いも素晴らしいです。またマギー・チャンが着ているチャイナドレスは、美しいシルエットと様々な柄や色のパターンで、それらが変わることで時間の経過を知らせてくれます。カメラの画角や人物のポジショニング、たばこの煙や、風に揺れるカーテン、美術セットなど細部にわたってウォン・カーウァイの世界観が楽しめます。



ウォン・カーウァイ作品を語るうえで忘れてはいけないのが、長年にわたりタッグを組み、その独特の表現方法で様々な映画を手掛けてきた、撮影監督の Christopher Doyle(クリストファー・ドイル)の存在。たとえウォン・カーウァイ作品だとしても、彼抜きでは100%には成りえない。「恋する惑星」で彼らに出会ってから、僕はすっかり彼らの虜です。アジア映画を多数手がけていることから日本人との交流も深く、最近では オダギリジョーの長編映画監督デビュー作、「ある船頭の話」で撮影監督を務めています。ウォン・カーウァイ作品はもちろんおすすめですが、クリストファー・ドイル作品でいろいろと探してみるのもいいかもしれません。

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