2021/02/20 16:29




2017年のアメリカ映画、The Florida Project(フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法)。
主演はこの映画で一躍脚光を浴びた子役の Brooklynn Kimberly Prince(ブルックリン・プリンス)。また主人公の母親役にこの映画でスクリーンデビューした Bria Vinaite(ブリア・ヴィネイト)。また Wes Anderson(ウェス・アンダーソン)作品などでも知られる名俳優 Willem Defoe(ウィレム・デフォー)も出演しています。監督は、iPhone を撮影に使用した2015年のアメリカ映画、Tangerine(タンジェリン)で数々の映画賞を受賞した Sean Baker(ショーン・ベイカー)です。ちなみに監督のショーン・ベイカーは Instagram でブリア・ヴィネイトを発掘、キャスティングしたという何とも今っぽいエピソードがあったようです。



アメリカでも屈指のリゾート地で、ウォルト・ディズニー・ワールドのあるフロリダ州。ディズニー・ワールドのすぐ近くにある安モーテルが本作の舞台で、そこを居住地とする人たちにスポットが当てられたドキュメントタッチなストーリーです。鮮やかなパステルカラーで彩られた外観で一見華やかなイメージのあるこの地域は、実は低所得者たちであふれる貧困層の人々であふれておりその厳しい現状がシリアスかつ、その生活の中にあるささやかなハッピーと共に描かれています。



映画の中で重要な役割を担う子供たちの演技は実に自然体で、観ていて微笑ましいです。実際に起きている厳しい現実がまだ実感できていない彼らが見せる奔放で無邪気な様子は、子供のころに感じたワクワク感や冒険心みたいなものを思い出させてくれます。この感覚に入りやすくするように作中のカメラワークにもある工夫がなされています。
一方で日々の生活の中で様々な問題と向き合わなければならない大人たちの様子、事態は思っているよりも深刻であるというギャップこそがこの映画の見どころの一つかもしれません。映画を作品としてみた時の、細かく絶妙な演技やカメラワークといった「リアルな描写」 と、今まさに現実で起きている ”リアルな現状” がある意味リンクしている作品だと思いました。



多くの批評家から非常に高い評価があったにもかかわらず、第90回アカデミー賞ではウィレム・デフォーの助演男優賞ノミネートのみ(この人の演技ほんと素晴らしかったなぁ)。そこには決して公にはされない、自由を謳う国アメリカが抱える闇の部分をリアルに表現している映画だからこその、なにか大きな理由みたいなものを感じずにはいられません。



あまりファッションや古着と関連はありませんが、一つの作品として大変おすすめです。さすが A24 って感じです。

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